2022年度診療報酬改定において、「診療録管理体制加算」の要件に「400床以上病院における専任の医療情報システム安全管理責任者の配置」、および「非常時に備えた医療情報システムのバックアップ体制を確保すること」が望ましいとの項目が追加されました。
一方、皆様ご存じのとおり、前回の診療報酬改定以降、医療機関への不正アクセス、ランサムウェアなどによるサイバー攻撃が立て続けに発生しています。その状況下で政府は、医療のDX化を強力に推進することを骨太の方針に盛り込みました。政府は、わが国の医療が進むべき方向を見すえ、少なくとも診療機能が損なわれるような事態を医療情報システムが引き起こさないこと、そのために医療情報を適切に管理できることを病院に期待しています。これが今回の改定で病院における医療情報システム部門の体制強化が要請された背景でしょう。
また、今回の通知における要件では「400床以上病院」と限定されましたが、いずれ、病床規模要件は取り外されることは想像に難くありません。政府は、推進しようとしている「医療のDX化」の肝(きも)として、医療機関における情報化、電子カルテ情報など医療情報の標準化、および医療情報の利活用が挙げています。この点を考慮しても、すべての病院に医療情報システム部門の体制強化が求められるのは、確実に訪れる将来であると考えられます。
しかし、現実は楽観視できる状況でないことを医療現場のみなさんはご存じだと思います。未だに「1人情シス」の病院が数多く存在しています。病院情報システム部門を外部に丸投げ委託している病院も増えています。政府の要請に応えようと思っていても、先が見えない状況にある医療情報システム部門、医療情報技師のみなさんは決して少なくないものと思います。
そこで関西医療情報技師会 第42回勉強会は、今回の診療報酬改定に伴う通知を踏まえた「医療情報部門のあり方」について、一般論を排除し、実際の医療情報システム部門の方々から生の事例発表をお願いして、医療情報技師のみなさんと情報と学びの共有を図ることを第一目的として開催いたします。
医療情報部門のあり方は、その病院の属性、例えば公的病院、民間病院、500床を超える大病院、100床未満の中小規模病院などによって異なります。また、情報システムベンダー側にとっても病院の医療情報部門はこうあって欲しいという考えもあるかと存じます。
今回の勉強会では、幅広い属性の演者様、5名の登壇をお願いしております。
各病院における医療情報システム部門の組織体制、ご担当されている業務、困りごとなどをお話しいただきます。また、情報システムベンダー様からも病院の情報システム部門に期待する体制などについてお話しいただきます。
そして最後にパネルディスカッション、および出席者のみなさまから質問等をお伺いし、皆さんと共有できる知識・ノウハウを探りたいと考えております。
【プログラム】
開会ご挨拶、主旨説明(13:30~13:40)
1.ご講演(13:40~16:20) ・渡部 太樹 氏
(独立行政法人 地域医療機能推進機構 玉造病院 医療情報管理室) ・近藤 宙翔 氏 (和泉市立総合医療センター 事務部総務課システム係) ・松本 清美 氏 (特定医療法人 桃仁会病院 医療情報室) ・北山 靖洋 氏
(公益財団法人田附興風会 医学研究所 北野病院 医療情報部 システム管理課) ・澤 伸夫 氏 (NECソリューションイノベータ株式会社)
2.パネルディスカッション(16:30~17:00)